大胆な対談・第十一部「ハロー漫画界Mac界」

(辰)え〜と、あれはたしか前世紀のことだったな。
(ま)わっ、トートツに何ですか?
(辰)だから、吾輩が漫画家の仕事として初めてMacを使った時の事だあよ。
(ま)だあよって、アンタ志村けんですか?
(辰)今気がついたけど、この不毛な対談、世紀をまたいで続いてるんだな。
(ま)不毛な、がよけいですよ。
(辰)ひょんなことから日経ホーム出版の日経マネーという経済雑誌にイラストを描く仕事があったのさ。
(ま)あったのさ、って何をハナの穴ふくらましてんですか?
(辰)で、その原稿を当時T-ZONEの最上階あたりにあったネットカフェで渡したんだ。
(ま)ああ、ありましたね懐かしい〜。STEPもまだ健在でしたねぇ。イケショップも今とは違う所にあって・・・。
(辰)・・・・。
(ま)あっ、すみません、つい昔のことを思い出してボ〜ッとしてました。数年前のことなのにコンピュータ関連の出来事ってすごく昔の事のように感じますね。
(辰)で、その原稿を渡す時、紙に手描きのものと、Macで作ったデータを入れたフロッピーディスクと両方渡したのだよ。どちらでもお好きな方を使ってくださいと編集者にはお願いしておいたのだよ。
(ま)で、どちらもボツになったと。
(辰)うん、それで泣きながら徹夜で描き直して・・・そんなわけないだろ!
(ま)そーですよね、トシとると徹夜は体がきつくてできなくなるっていいますもんね。
(辰)そーゆー意味じゃないよ!
(ま)じゃあどーゆー意味ですか。
(辰)だから、その時手描き原稿ではなくてデータの方が採用されたんだよ。
(ま)それが、おだ辰夫がMacを使用しておこなった記念すべき初仕事なわけですね。
(辰)そーゆーこと。フロッピーディスクで渡したところが時代を感じさせるよなぁ。その時はスマートスケッチで制作したんだったな。その後日経マネーはインターネットマガジン 日経マネーDIGITALもスタートし、本誌に掲載された漫画鐘尾為太郎の冒険の一部をpdfファイルとしてダウンロードできるようにしたり、webコンテンツとしてFLASHデータを提供し続けてるんだよ。
(ま)ところでスマートスケッチって、その後流転して今ではFLASHになった伝説のグラフィックソフトですよね。
(辰)うん、でもFLASHもver.3まではスマートスケッチのシンプルな操作感があったけどver.4からは大きくインターフェイスが変化して使いにくくなった。それでバージョンアップもしてないんだ。
(ま)バージョンアップ料金も高いですからね。で、やっぱりFLASHといえばタブレットが必須ですと解説書に書いてありますよね。
(辰)吾輩は使ってないよ。タブレットよりはマウスの方が使いやすいもん。まぁ人それぞれってことだよ。しばらくはタブレットも使ったがどーもなじめなかった。
(ま)なるほど。FLASH使いは必ずタブレットを使うと思ってたけどそーでもないんですね。
(辰)しかしいまだにFLASH3で制作してるから、納品後の自分の作品がFLASH5で公開されたら自分で自分の作品が見られないなんてことになってな。しかもそのサイトがMacをサポートしてなかったりすると大変だな。
(ま)そんな時はどーやって確認するんスか?
(辰)秋葉原や有楽町のショップに行って、インターネット接続体験コーナーで確認するのじゃよ。
(ま)はぁ・・・。
(辰)以上!
(ま)以上って、これだけですか?
(辰)うん。
(ま)うん、じゃないですよ。漫画とMacとのつながりですよ。全部FLASHで制作してるんですか?
(辰)いやいや、手で描いてるよ。紙に鉛筆で下描きしてペンにインクをつけて描いて、消しゴムで下描きの線を消して、スクリーントーンを貼って出来上がり。
(ま)なんか面倒そうですね。
(辰)うん、でも手描きなら途中でデータが消える事もないしな。
(ま)消えた事があるんですね?
(辰)うん・・・。あの時は・・・。
(ま)じゃあ、ラピタネット親愛なるカブなんかは手描き原稿をスキャンしてデータにして渡してるんですね?
(辰)うん、小学館ラピタ誌のホームページのindexでCUB ME TENDER の部分をクリックすると見ることができるアレだよ。
(ま)なんか、ずいぶん説明的ですね?営業的気配りっスか?
(辰)いや、そーゆーわけでは(ムニャムニャ)で、この漫画は手描き原稿をそのまま渡してるよ。
(ま)とゆーことは、通常の印刷用原稿の時と同じなんですね。
(辰)うん、吾輩は高機能なスキャナーを持ってないからな。
(ま)なるほど、さきほどのFLASHのバージョンンアップをしない事と言い、コンピュータの進歩について行っていないということですね。
(辰)いや、いたずらに流れにのるのではなくてアナログとデジタルの融合をめざしてるのだよ。黄金の右腕とMacがあれば吾輩の漫画家生活の未来はバラ色じゃ〜っ!
(ま)あとは才能だけですね。
(辰)ほっといてくれ!


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